包囲抜け論

こんにちは、パワポです。こんな感じで急に投稿の間が空いたりするのは大目に見てくださいm(_ _)m

唐突ですが、包囲の抜け方について理屈っぽく整理してみたいと思い立ちました。意外と文献が手薄い分野のようなので、用語や概念などはほぼ自己流で考えたものです。ツッコミ歓迎です。

包囲抜けとは

そもそも包囲とはざっくりこういう形です(厳密な話は最後に補足)

爆炎で囲む形で詰ませるような形の攻撃が「包囲」で、それをどうやって回避するかという話です。

今回の話は完全な包囲形に限らず、普段の位置の取り合いにも応用できるような話だと思います(それはそれで別の記事にした方が良いかも)。

包囲抜けの2つの柱

包囲を抜けるための行動の軸として、大きく「待ち」「越え」という2つの柱があると考えます。

「待ち」とは、ある爆炎Aから別の後続の爆炎Bが来るまでの時間差を利用するものです。具体的には、まず爆炎Aの当たらない位置で待機→爆炎Aの当たり判定が切れたらすぐに爆炎Bの当たらない位置に移動するという動きになります。
(文字だけでは大変わかりにくいと思いますが、下に実例は載せるのでご安心ください)

「越え」とは、包囲を構成するボムを動かしながら、包囲の攻撃範囲の外側に出ることです。爆炎のラインを越えて逃げていくため、「越え」としています。なお、後に見るように、「越え」は必ずしも包囲全体の一番外まで出ることを指しません。ボムが何重にもあったら、一つ一つそれぞれについて「越え」ていくというイメージです。また、ボムを動かさずに単に爆炎が出る前にボムの脇を通り過ぎるだけの動きはここでは「越え」には含みません。

この2つのどちらかに属する行動を、単体で用いたり組み合わせたりして包囲を抜けるというのが基本的な考え方となります。

ちなみに、この2つの他にも一応例外的な枠として、裏パンチやキックでボムを遠ざけて火力把握で生存したり、起爆パンチで爆炎を消して回避したりといった方法もありますが、これらは今回はメインでは取り上げません。

では、以下実例を交えつつ、包囲抜けのより細かい分類について見ていきます。

0. 待ち(基本形)

待ちは複数の爆炎の時間差を利用するものと書きましたが、この時間差が生まれるメカニズムはそもそも2種類あります。一つ目は、発火点が複数あり、かつそれらの発火タイミングが異なることに起因する時間差です。以下の動画のように、いわゆる「繋がっていない」包囲については、この時間差を把握していれば、ただ待って移動するだけで回避できるケースもあります。

横に3個並んだボムと縦に2個並んだボムは繋がっておらず、発火点が異なるため大きな時間差が生じている
よって、前者の残炎が消えるのを待ってからでも、十分後者の残炎は回避できる

二つ目は、発火点が単一のケースです。旧BOを除いてボンバーマンは基本的にボムが誘爆していく際に少し時間がかかります。これが複数重なれば回避するのに十分な時間差が生じるという仕組みです。
(参考:誘爆遅延 / 遅延回避

旧BOでは繋がっているボムが全て同時に発火するので、このような回避は不可能

ただ、これらのように止まったり動いたりするだけでは回避できない包囲も実戦では大量に発生します。

1. 単外し待ち

実践的には一番スタンダードとも言える包囲の抜け方です。
シンプルにパンチ(もしくはキック)してボムを外してから、その場で待つだけ、という分かりやすい回避です。
初めのうちは、自キャラの目の前に外したボムがあるプレッシャーの中で「待つ」という行為が心理的に難しく、不要に動いて燃えてしまうことなどもよくありますが、原則さえちゃんと理解していればすぐ身につくようになると思います。

単外し待ちが有効なのは、包囲を構成するボムのそれ自体の発火タイミング(他のボムからの誘爆ではなくそれ自体が単体で爆発すると仮定したときにいつ爆発するか)に大きな時間差があるときです。
…もっと簡単に言えば、ひとつ突出して新しいボムを見つけたら、それをパンチなり1マス蹴りなりで外してしまえば良いわけです。

格言風に言うなら、「新しいボムを外せ」といったところでしょうか。

理屈を書くと、爆炎の時間差を「待つ」という原理上、最初に発火した残炎が消えるのと後続のボムが発火するのとの間に時間差があればあるだけ(つまり外すボムが新しければ新しいほど)移動・回避の猶予があるというわけです。

この「単外し待ち」の動きは、包囲が完成される前であっても「このままだと包囲されそうだな」と感じたときには積極的に狙って良いと思います。相手の動きを予測することと相性が良い、と言ってもいいかもしれません。

黄ボンが包囲形を先に予測して右 端のボムを上にパンチ
上の例と本質的にはほぼ同じ

外す際にキックとパンチのどちらを使うかですが、それぞれメリット・デメリットがあります。単外しの場合は、最初の爆炎が届くギリギリでボムを動かすことが多くなるイメージがあるので、そう考えると誘爆までの猶予がより長いパンチを使う機会が自然に多くなるような気がします。パンチであればキックよりも外したボムの発火も滞空時間分だけ遅れるのでその点でも楽ですね。

ただしステージ際に向けたパンチは今作では裏に行かずに十字路に落ちる仕様があるので、その際は追撃に気をつけましょう。こんな感じです↓

パンチされたボムに繋げる形でデスサイズの追撃
形によっては蹴り誘爆ではなくギリ置きで繋げられることもあり、そうなると包囲されている側はよりシビア

ステージ際は1マスキックストップであれば詰みません。(ただし発動のためにはパンチよりも早くボムに辿り着いている必要あり)

仮に下にパンチすると、黒ボンの動き次第ではデスサイズの形でおそらく詰み
実際の進行であれば、①バイパーの下のラインへの蹴り誘爆(ロナ)②横投げピヨが見合い(二択のうちどちらで攻められても、相手の動きを見てからもう一択の方に逃げておけば回避できる状態)になって詰まない

参考のために、失敗例も載せます。
ボム間の発火の時間差が少ない状況で単外し待ちをしようとしても、前の爆炎を待っている間に外したボムが発火してしまってうまくいかないよ、という例です。

下端のボムは古いボムなので単に外して待つだけではこの試合のように回避不可
対してそのひとつ上のボムは新しいので、(単外し待ちにこだわるなら)ここを外した方が良い

最後の失敗例ではそもそもパンチで外してから左上発の爆炎が届いてくるまでにかなり時間の猶予がありました。こういう場合は、そもそも単外し待ちは悪手になりがちです。仮に生存できたとしても、待っている間に一箇所で足を止めているとそれを見越して攻撃側が色々な手を打てるためです(投げでピヨらせるなど)。
じゃあそういうときどうするのっていうことで、次の「越え」の習得が必要になります。

2. 直線越え

「越え」の中でも最も分かりやすい形です。
動きとしては単外し待ちよりもさらに分かりやすく、単純に包囲網を真っ直ぐ突き破って逃げていくということです。
ただし、「待ち」とは違って、起爆していないボムのラインを堂々と通っていく必要があるため、十分な把握力が無いと「ここ通ったら燃えちゃうかな?」と不安になってしまい、なかなか選択できない行動でもあります。

この行動のためには、当然ボムのラインを「越える」のが発火に間に合ってなくてはいけません。一方、前述の通り、「越える」のが間に合う状況であれば、基本的には(「待ち」ではなく)越えていった方が良い(※直線越えでなくても良い)というものでもあります。
越えるために触れるボムはキックでもパンチでもいいですが、キックの方が硬直が短く生存しやすいことが多いと思います。
上の例のように、端までキックしたボムを追いかけて最後に裏パンチという一連の動きは生存の基本手筋のようなものなので、いつでも使えるようにしておくと良いと思います。越えた後に相手に並走して追いかけられたとしても、直線越え→裏パンチができれば、まず詰まないはずです。

キックストップを交えつつドリブル風に進んでいくのもあり
かなり際どいが、下に向かってキックして直線越え→起爆裏パンチしている例

3. 曲がり越え

もう少し複雑な「越え」の形です。
名称は何でもいいのですが、「掻き分け」などと呼んでも分かりやすいかもしれません。
ボムを外して進むところまでは「直線越え」と同じですが、真っ直ぐ進んでいくのではなく、十字路で曲がって、場合によっては他のボム(大抵曲がった十字路の2マス先にあるボム)に触りながら相手の包囲を大きく分解するといったイメージです。
使うためには直線越えよりも起爆時間の猶予が必要になるケースも多く、他の例に漏れずいつでも使えるわけではありません。とはいえ、使用可能な(かつ実際には見過ごされている)ケースは意外と多く、使えれば逆に相手に対するカウンターにもなりうる動きなので、ぜひ手札に加えておくことをお勧めします。

上の例もそうですが、曲がり越えができるような状況は大抵包囲が完全には構築されきっていないことが多めだと思われます。
(曲がり越えができるということはボムが全体的に新しいと考えられるが、足の遅いギンギンでは短時間にさほど大掛かりな包囲を完成させられないため、曲がり越えができる時点で包囲は「作っている最中」である可能性が高い)

<<備考>>
曲がり越えは厳密には包囲抜けというより、位置取りの重要テクニックのひとつくらいに考えても良いかもしれません。
上の例でも例えば最初から「越え」をせずに、一番下の列や一番右の列に後退して、やり過ごすこともできるかもしれません。
しかし、下手なやり方では裏投デスサイズで簡単に仕留められますし、仮に生き残っても次のターンも端からスタートなのでまた似たような形を繰り返し押し付けられる恐れがあります。
「曲がり越え」はその特性上、実行さえできれば包囲の脅威から逃れる効果はかなり高く、それだけ習得する価値が高いのではないかというのが自分の今の印象です。

曲がり越えではキックとパンチをうまく織り交ぜるのも有効です。とても全種類の網羅はできませんが、いくつか例を挙げます。

上の例よりも完成に近い包囲
青ボンが上端で左にパンチした時点では単外し待ち的なイメージだった可能性があるが、下からの爆炎が繋がっていないのを確認して、結果的には下方向への曲がり越えの形に
逆に包囲らしさがまだ薄い形
曲がった後、十字路のボムを右に1マスキック→2個起きの形にしてからさらに右にパンチという定番の攻めの形を逆に作っていける
相手から離れていくように曲がっている例
裏パンチを組み込んだ曲がり越え
横裏投げのピヨハメに持ち込まれる展開には注意

<<備考>>
ここまで示してきた例はいずれも包囲を構成するボムを2個分キックorパンチしています。厳密な理論化をするなら、これらの例では「曲がり越え」が2回行われている見做すのが良いかもしれません。別の言い方をすると、「曲がり越え」は2個組み合わせてセットプレイ的に用いられることが多いとも言えます。
このような定義をすると、「越え」の最小要素は「直線越え」か「曲がり越え」の2種類しかなくなり、理論的な節約という点でメリットがありそうです。また、ややレアケースではありますが曲がり越えを1個だけ使う包囲抜けの形(ボムをどかして曲がってすぐの通路が安置になる例)なども理論的にうまく説明できるようになります。
ただ実践的にはそこまで厳密なことを考える意味は薄いので、ジグザグにボムを掻き分けて動いていく形のイメージさえ持てればとりあえず良さそうです。

4. 複合型

ここまでに挙げた形を使いこなせるだけでも包囲で詰まされることは格段に減ると思われますが、実際にはこれらを軸に据えつつその他の微小な動きまでも組み合わせ、さらに複雑な動きをすることもできます。攻撃力の高い人は一回相手を囲って終わりではなく、相手の抜け方に合わせて次々に追撃してくるので(例えばこんな感じで)、そうしたものに対応するためにはこうしたアレンジも必要になってくるかもしれません。
ここで紹介できるのはほんの一部の例になります。


青ボンの包囲に対して、黄ボンが両側の十字路のボムを外してしのぎ切る展開
あえて何か呼ぶなら「両外し待ち」?

十字路ボムを下にキックする「曲がり越え(↓→)」から十字路ボムを右にパンチする「単外し待ち」を繋げたような形
左上隅までそのまま逃げ続けるよりも位置取りを回復する意味で効果的

青ボンが(中央に近いとはいえ)退路方面である左にボムがある上に投げ暴発もあり動きにくい形
ここでボムを上に裏パンチしてそのまま「越え」ていくかと思いきや、引き返して「曲がり越え(↓→)」からの「直線越え(→)」で逆に包囲し返す展開に
黄ボン側も恐らく端まで進んでくる展開を予測して上端にボムを置いていたため、逆に位置取りが厳しくなった
包囲抜けにおいてもフェイントの有効性があることがわかる

単外し待ちの変化で、ほとんど待たずに外した方向(↓)と逆側(↑)に進むケース
さらに細かい見所として、リヒターが十字路のボムを1マス下に外した後、上側の退路を塞がれるのを防ぐためにキックされたボムを体で止めている(いわゆるサイドトラップ
やや遅いタイミングで上に動き始めているのもパンチ回避の観点から見て正しそう

リヒターが上方のボムを1マスキックストップした後、↓に「直線越え」からの裏パンチをして↓←に「曲がり越え」、誘爆遅延で左側の残炎が消えるのを待ってから包囲を抜ける…という相当込み入った形
バブルヘッドナース側は蹴り誘爆で一番下の列を潰しておけば詰み形になってた気もするが、普通の感覚では一番下は放置しておいても通れない感じがするので裏投げは自然な選択か(実際包囲抜け直後に刺せているのも裏投げの圧が貢献している)

包囲を構成していた左端のボムを上に2マスずらして直接的に反撃手段にしている例
「新しいボム」ではなく「古いボム」(発火点)をずらしている点で他の例と大きく違う

<<備考>>
発火点となるボムをずらす行動は、今までに紹介したもののいずれとも異なる包囲の回避パターンを展開できる可能性があります。しかしそもそも今作のギンギンパワータイマンでは足の速さなどの仕様上、そもそもそうした形は生じにくいというのが現時点での自分の考えです(あくまで包囲の文脈の話です)。確信はありませんが、少なくとも実戦の映像を漁っていて出会うことは稀でした。この点についてはいずれ「ずらし」について考察する記事を書くときなどに考えてみたい次第です(何年後になるか分かりませんが、、)。
この話に関して何かご意見や関連する実例の動画などありましたら、お気軽にお寄せいただけると大変嬉しいです。

包囲抜けの習得のために

色々な回避の例を見てきましたが、そもそも危機的な状況に陥らないように通常時から立ち回ることが一番重要と思われます。上に挙げたいくつかの例では、回避側は包囲形の完成に先んじて行動しています。どのような包囲の形になり得るかというのを常にイメージしながら行動しておけば、ギリギリの状況でも正しい回避の選択肢を咄嗟に採れるようになるはずですし、逆に相手の攻撃に対して全く予測が立っていない状態で反射神経だけで動いていては追い込まれてからがかなり厳しいと思われます。つまり、避ける側にも、包囲の攻撃の手順の学習が求められるということですね。

また、包囲で詰んだ場合は、その前に悪手があったり、抜ける道があるのに気づいていなかったり、とにかく詰んだ側に落ち度があるのは確実です。例えば、相手への牽制やカウンターのつもりで打った単発のパンチのボムのせいで自分の逃げ道が潰れて結果的に包囲が完成するといったことは非常によくあることです。録画を確認するなどして、後からでも「どうすれば追い込まれなかったか」「どうすれば避けられたか」を反省しひとつひとつ頭にインプットしていけば生存力は上がっていくと思います。その際の回避の選択肢の早見表として今回の記事の内容を活用していただくのも良いかもしれません。

あとは当然ですが、いわゆる「把握力」(ボムがいつ爆発するか把握するスキル)も必要になってきますね。把握力に関する持論はまた改めて記事化したいと思います。


補論:包囲の定義について(細かい話)

同じボンバーマン用語でも、「蹴り誘爆」や「ピヨハメ」が指す対象を明確にできるのとは違って、「包囲」はどこからどこまでが包囲に含まれるのかが主観的な感覚に基づいており、境界の曖昧な概念だと思っています。
個人的に可能な限り厳密に考えた理論的な定義は以下のようなものです。
「ある複数のボムに対して、あるキャラがその場に止まっているだけでは既存のボムの爆炎に当たるような位置関係にあるという前提で、(1)既存のボムに触れたり新しいボムを置いたりせずに(2)全く止まることなく移動するだけではそれらの爆炎を回避して生存できない状況下にあるとき、この全体的な状況を包囲と呼ぶ。さらに、このような形を目指して攻撃を展開する過程も包囲と呼ぶ。」

以下の画像(そめさんのBO画像ジェネレータをお借りしましたm(_ _)m)でも示すように、必ずしもボムで完全に囲まれている必要はありません。

包囲の定義に「実際に詰んでいるかどうか」を含めるかどうかは微妙なところです。個人的な意見としては、「詰んでいなければ包囲ではない」としてしまうと世の中にほぼ真に包囲と呼べるものがなくなってしまう気がするので、詰んでいなくても上のように囲まれていたら包囲と呼んでしまって良いと思います。


上の画像のケースもボムの形や数から言って包囲らしくも見えますが、☆のルートで通る猶予があるのであれば、上の定義としては包囲ではないと考えた方が良いでしょう。


一方この画像のように、敵(黒ボン)の位置どりから考えて、明らかに下方向に逃げるルートは生存が厳しい状況では、ボムだけ見れば包囲は完成していませんが、完成に向けた過程にあると考えてこれもある種の包囲と呼んでも良いと思います。つまり、下側を塞がれるのを見越して白ボンが上側に直線越えなどの形で逃げていくのはこれも「包囲抜け」と呼べるということです。

ただし、この定義だと、下のような状況も「包囲」と呼べてしまうのが難点です。理論的には破綻は無いはずですが、感覚的にはしっくりこないので、普段の会話などの中では「ある程度ボムがたくさんあって詰みが近そうで…」といった主観的な感覚に基づいて包囲という言葉を用いることになると思います。その場合、包囲というのは0か1かではっきり線を引けるものではなく、「段々包囲らしさが上がっていく」くらいのものと捉えられます。また、前述の「未完成だけどこれから包囲が完成していきそうな形」についても同様に、主観的なグラデーションで包囲らしいかどうかを判別するのが自然と言えそうです。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。